農業経営の法人化に関する相談
沖縄県農業会議では、農業経営の法人化に関する相談窓口を設置しています。
法人が農地の権利を取得する場合の要件などについて相談に応じています。
農業法人とは、法人が施設園芸や果樹、畜産などの農業を行う場合の総称として使われています。
一方、農地所有適格法人は、農地法で定義されているもので、農地の権利(所有権、賃借権など)を取得することができる法人です。
農業法人には農地がなくてもできる養豚・養鶏等の事業さらには解除条件付貸借で農地を借りて農業経営するものも含まれますが、農地の所有権・賃借権等を取得して農業を行う場合には、農事組合法人や株式会社、持分会社でも農地所有適格法人の要件を満たす必要があります。
会社法人と農事組合法人
法人形態を大きく分けると、会社法人と農事組合法人とに分けられます。
会社法人は、営利目的の法人です。その中でも株式会社は、社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形式をとり、出資者は特段の制限なく出資に応じて株式数を取得できます。また、株主総会において株式数に応じた議決権(1株1議決権の原則)の行使を前提として決議がなされ、日常的な業務については取締役が決定する仕組みになっています。
これに対し、農事組合法人は、農業生産の協業による共同利益の増進を目的とする法人です。このため、構成員の公平性が重視され、議決権は1人1票となっています。また、構成員が3人以上必要であることが特徴です。
法人が農地を買ったり借りたりするには、それぞれ次の要件を備えることが必要です。
- 買う場合:農地所有適格法人の要件を備える法人
- 借りる場合:農地所有適格法人又はそれ以外で一定の要件を備えた法人(一般法人)
農地所有適格法人と一般法人
法人が農地の権利を取得するについて、所有する場合には、下表のとおり農業の売り上げが過半であること、農業関係者の議決権が過半である等の要件を備えることが必要であり、それらの要件を備えた法人を農地所有適格法人と言っています。
一方、農地を借りる場合は、議決権等に制限はなく、役員等の一人以上が農業に従事すること、農地を適正に利用しない場合の契約解除を契約書へ記載すること等の条件を満たすことで足ります。
取得できる権利 | 所有権、地上権、使用貸借権、賃借権等(制限なし) | 使用貸借権、賃借権 |
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法人形態要件 | 株式会社(公開会社でないものに限る)、合名会社、合資会社、合同会社、 農事組合法人 | 制限なし |
事業要件 | 主たる事業が農業(関連事業含む)であること(農業の売上高が過半) | 制限なし |
議決権要件 | 農業関係者が総議決権の過半を占めること | 制限なし |
役員要件 |
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役員又は重要な使用人の1人以上が、農業(関連事業を含む)に常時従事すること |
農地利用に関する基本的な要件 |
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その他の要件 | なし |
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農地所有適格法人の要件(農地法第2条3項)
法人形態要件
農地所有適格法人の法人形態は、下記のいずれかです。
- 株式会社 ※株式譲渡制限会社(公開会社でない)に限る
- 合名会社
- 合資会社
- 合同会社
- 農事組合法人
事業要件
農地所有適格法人は、主たる事業が農業であることが重要です。農業には次のような関連事業が含まれ、それが売上高の過半であれば、他の事業を行うことができます。
売上の過半
- 関連事業:農産物の製造・加工、貯蔵、運搬、販売、農業生産資材の製造、農作業の受託、林業、共同利用施設の設置、農村滞在型余暇活動施設の設置・運営、農畜林産バイオマス発電・熱供給、営農型太陽光発電
- その他の事業
例:民宿、キャンプ場、造園、除雪等
議決権要件
誰でも農地所有適格法人の構成員となれます。ただし、株式会社や持分会社においては、総議決権又は総社員の過半は、1.農地の権利提供者、2.常時従事者(原則として年間150日以上従事)、3.基幹的な農作業を委託した個人、4.地法公共団体、農協、農地中間管理機構等が占める必要があります。
〈農業関係者〉総議決権の1/2超
- 農地の権利を提供した個人
- 法人の農業の常時従事者
- 基幹的な農作業を委託した個人
- 農地中間管理機構を通じて法人に農地を貸し付けている個人
- 農地を現物出資した農地中間管理機構
- 農業協同組合・農業協同組合連合会
- 地方公共団体
- 農業法人投資育成事業を行う承認会社(投資円滑化法第10条)
(特例)市町村の認定を受けた農業経営改善計画に基づいて出資した農業経営を行う個人又は農地所有適格法人(基盤法第14条、基盤法施行規則第14条)
〈農業関係者以外〉総議決権の1/2未満
制限なし
例えば
- 食品加工業者
- 種苗会社
- 生協、スーパー
- 銀行
- 農産物運送業者
- 一般の企業や個人など誰でも
役員要件
- 農地所有適格法人の役員の過半の者が法人の農業(関連事業を含む)に常時従事(原則年間150日以上)する構成員(株主、組合員、社員)であること
- 役員または重要な使用人のうち1人以上が省令で定める日数(原則年間60日)以上農作業に従事すること
毎年、事業報告が義務づけられています
農地所有適格法人は、毎事業年度の終了後3ヶ月以内に、事業の状況等を農業委員会に報告しなければりません。この報告をせず、または虚偽の報告をした場合には30万円以下の過料が課せられます。
継続して要件を満たす必要があります
農地所有適格法人が要件を満たさなくなるおそれがあると認められるときは、農業委員会は法人に対し、必要な措置をとるべきことを勧告できます。この場合、法人から農地の所有権を譲渡したい旨の申し出があったときは、農業委員会はあっせんに努めることとされています。
参考:株式会社(発起設立)の手順
株式会社・農事組合法人の設立に必要な費用
定款 | 定款の認証代 | 5万円、ページ当たり手数料2,000円前後(農事組合法人は不要) |
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定款に添付する印紙税 | 4万円(農事組合法人は不要、定款の電子化を利用する場合は不要) | |
登記申請 | 登録免許税 | 資本金の7/1000。最低15万円(農事組合法人は不要) |
銀行手数料 | 出資金払込事務手数料 | 払い込み金の2.5/1000(農事組合法人は不要、保管証明を使用しなければ株式会社の場合も不要) |
登記簿謄本 | 取得手数料(2通) | 1,200円(1通600円) |
印鑑証明書 | 4~5通 | 1通450円 |
合計 | 約25万円 | |
その他 | 印鑑作成(代表者印、会社印) | 実費 |
司法書士等代理手数料 | 約30~50万円(地域によって異なる) |
農地の権利を取得するための手続き
個人や法人が農地を売買又は賃借するためには、原則として、その農地の所在する市町村の農業委員会の許可(農地法第3条)が必要です。この許可を受けていない売買等は無効です。
農地法第3条許可の流れ
許可申請に必要な書類
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申請人の数+1部 | 様式第1号 |
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各1部 | |
Ⅰ一般申請記載事項 | 様式第1号-② | |
Ⅰ-①一般申請記載事項(経営面積の特例・転貸) | 様式第1号-③ | |
Ⅱ使用貸借又は賃貸借に限る申請での追加記載事項 (農地法第3条第3項関係) (農地所有適格法人以外の法人の場合) |
様式第1号-④ | |
特殊事由により申請する場合の記載事項 | 様式第1号-⑤ | |
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1部 | 様式第1号(別紙) |
添付書類
申請地の登記事項証明書(全部事項証明書に限る) | |
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契約書の写し(農地法第3条第3項による許可を受けようとする者は、適正に利用しない場合の解除する旨の記載がある契約書の写し) | |
耕作証明書(譲受人) ※譲受人の住所が他市町村の場合(経営地がある場合のみ) |
様式第2号 |
営農計画書(譲受人) | 様式第3号 |
定款の写し(譲受人) | |
組合員名簿又は株主名簿の写し(譲受人) | |
申請地及び付近の状況を表示する図面(見取り図) | |
その他必要と思われる書面 |
お問い合わせ先
相談窓口 | (一社)沖縄県農業会議 |
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相談時間 | 午前9時~午後5時(月〜金 祝日除く) |
連絡先 | 098-889-6027 |